【92】キネシン&微小管
モータータンパク質〈キネシン〉は、ATPを消費しながら、微小管の−(マイナス)端から+(プラス)端に向かって歩いていく。
真核生物の細胞分裂(有系分裂)では、両極から伸びてくる微小管によって、赤道面に並んだ染色体が引き裂かれる。このとき〈キネシン〉が、染色体に結合していない微小管の+(プラス)端の付近に結合する。背中合わせ?の〈キネシン〉が+端に向かって歩くと、微小管は+(プラス端)側に伸長(チューブリンが重合)しながら、紡錘体全体が、両極に押し広げられていく。
他にも、キネシン&微小管は、色素胞での色素顆粒の移動や、ニューロンでのシナプス小胞の移動に関わっている。
色素胞では、微小管の+端が細胞の外側に向いており、〈キネシン〉が色素顆粒を背負って+端に歩く?ことで、色素顆粒が分散する。
ニューロンでは、微小管の+端が軸索末端に向いている。〈キネシン〉がシナプス小胞を背負って+端に歩く?ことで、細胞体で合成された神経伝達物質が軸索の末端に届けられている。
【補足】
- 微小管(細胞骨格の中で“最も太い”けれど“微小”管。タンパク質“チューブリン”が螺旋状に重合した繊維。)
- ダイニン(微小管の表面を、+端からー端に向かって歩くモータータンパク質。“歩く”際にはATPを消費する。)
- キネシン(微小管の表面を、ー端から+端に向かって歩くモータータンパク質。もちろんATPを消費する。)
- モータータンパク質(ATPと結合・分解し、その立体構造が変化することで、ATPの化学エネルギーを運動エネルギーに変換するタンパク質。)
- 紡錘体(分裂期に現れる。細胞の両極から伸びた紡錘糸/微小管が、赤道面に並んだ染色体に結合すると、全体的に糸巻形/紡錘形に見える。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂