【102】ミクロメーター
光学顕微鏡で試料(タマネギの表皮細胞とか、ゾウリムシとか、オオカナダモの葉緑体とか・・・)の大きさを測る際には、接眼ミクロメーターの目盛りを使う。ただし、接眼ミクロメーターは接眼レンズの内部にセットされているため、顕微鏡のレボルバーを回して対物レンズを交換すると、接眼ミクロメーターの1目盛りが意味する幅は変わってしまう。
そこで、まず接眼ミクロメーターで対物ミクロメーター(1目盛=10μm)を観察し、対物レンズの倍率ごとに接眼ミクロメーターの1目盛の意味する長さを計算しておく。
対物レンズの倍率が大きくなると、接眼ミクロメーターの1目盛の“見た目”は変わらず、接眼ミクロメーターの1目盛の“意味する幅”が小さくなる。
例えば、倍率を4倍大きくすれば、試料の見た目は4倍になり、接眼ミクロメーターの1目盛の“意味する幅”は4分の1になる。
ミクロメーターを使いはじめて誰でも考えそうなことは「1目盛の幅が決まっている(倍率ごとに計算する必要のない)対物ミクロメーターの上に、試料を直接のせて観察すれば、計算の手間が省けるのでは?」という発想。
実際にやってみると、対物ミクロメーターの目盛りと、その上にのせた試料の両方に、同時に焦点を合わせることはできない。これは低倍率の肉眼よりも、高倍率の顕微鏡の方が、焦点深度(焦点が合う深さ)が狭いことによる。
【補足】
- 接眼ミクロメーター(接眼レンズの内部にセットして使う。円盤状の透明板の中央に目盛りが刻まれている。1目盛りが意味する幅は、対物レンズの倍率によって変化する。)
- 対物ミクロメーター(ステージの上にセットして使う。スライドガラス上の透明板の中央に目盛りが刻まれている。1目盛りの幅は普通10μm。)
- 焦点深度(焦点が合う深さ。倍率が高いほど焦点深度は浅くなり、繊細なピント調節が必要になる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂