【96】筋節の長さ&張力
筋節(サルコメア)の長さは、アクチンフィラメント(細い繊維)とミオシンフィラメント(太い繊維)の位置関係で決まる。
① 最も弛緩した状態では、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントがほぼ重ならないので、筋節(サルコメア)の長さは、アクチンフィラメントの長さ×2本分+ミオシンフィラメントの長さ×1本分に相当する。
② 収縮がはじまると、アクチンフィラメントと結合するミオシン頭部が増えるにしたがって張力が大きくなり、全てのミオシン頭部がアクチンフィラメントと結合すると張力は最大となる。
③ 全てのミオシン頭部がアクチンフィラメントと結合している間は最大張力が維持される。
④ さらに収縮して、互いに“向かいあう”アクチンフィラメントが重なると、ミオシン頭部がアクチンフィラメントを手繰り寄せる運動が妨げられるようになり、張力は小さくなる。
【補足】
- 横紋筋(顕微鏡で観察すると、暗帯と明帯が交互に繰り返した横縞が見られる。骨格筋と心筋に多い。)
- 平滑筋(顕微鏡で観察しても、暗帯と明帯の縞模様は観察できない)
- 筋繊維(筋細胞)
- 筋原繊維(筋肉細胞の中にある繊維状構造。アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが重なりあっている。)
- 筋節/サルコメア(筋原繊維の中で、Z膜とZ膜の間の1区画分。)
- 暗帯(筋原繊維の中で暗く見える帯状の部分。太いミオシンフィラメントが重なって暗く見える。筋収縮しても幅は変わらない。)
- 明帯(筋原繊維の中で明るく見える帯状の部分。細いアクチンフィラメントだけが重なって明るく見える。筋収縮に伴い幅が狭くなる。)
- アクチンフィラメント(筋原繊維を構成する細いタンパク質の繊維。)
- ミオシンフィラメント(筋原繊維を構成する太いタンパク質の繊維。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂