【100】脳の進化
脊椎動物(脊索動物)の神経系は、神経管が枝分かれしてできる。神経管の前端が膨らんで”脳”になり、さらに”脳”が複雑に折りたたまれて、大脳、中脳、小脳、間脳、延髄に分化する。
動物の系統ごとに、生活スタイルに応じた脳が発達・進化してきた。水中を泳ぎ回る魚類や、空を飛ぶ鳥類では、前後左右に加えて上下方向の移動や、旋回などの動きをするため、姿勢保持に関わる中脳や、平衡感覚に関わる小脳が大きく発達している。一方、視覚や聴覚の中枢である感覚野や、随意運動の中枢である運動野、意思や言語などの精神活動の中枢である連合野など、大脳新皮質を大きく発達させてきたヒトには、知識・技能、思考力・判断力、主体的で対話的に深く学ぶ力が求められている。
動物の系統によって脳の構造は多様に進化してきたものの、脳や脊髄の中心には、それぞれ空洞(脳室や中心管)があり、神経管の名残をとどめている。
脊椎動物の管状神経系は、胚発生の過程で背側外胚葉が筒状に陥入した”神経管”から作られる。神経管の頭側はふくらんで脳に、尾側は伸長して脊髄に分化する。ヒトの場合、脳からは12対、脊髄からは31対の末梢神経(体性神経&自律神経)が枝分かれして、中枢神経と様々な器官の間で興奮を伝えている。
【補足】
- 集中神経系(脊椎動物や節足動物などの神経系には、多数のニューロンが集合した脳や脊髄などの中枢神経がある。)
- 散在神経系(サンゴやクラゲなどの神経系には、中枢神経がない。)
- 管状神経系(神経管が枝分かれしてつくられる。神経管の名残で、脳や脊髄などの中枢神経の内部には腔所がある。)
- 神経管(脊椎動物では、神経胚期に神経胚期に背側外胚葉は筒状に陥入して作られ、前端が膨らんで脳に、後半が長く伸長して脊髄に分化する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店