【80】競争的阻害と非競争的阻害
“競争的阻害剤”は、酵素の活性部位を基質と奪い合うことで、酵素反応を阻害する。
“非競争的阻害剤”は、酵素の活性部位以外の部分(アロステリック部位)に結合することで、活性部位も含めて酵素タンパク質の立体構造を変化させ、酵素反応を阻害する。
“競争的阻害”では、基質の濃度が高くなると、阻害剤と酵素が結合する機会が減るので、阻害剤の影響は小さくなる。
一方、“非競争的阻害”では、酵素が基質と結合しているかどうかに関わらず、酵素のアロステリック部位に阻害剤が結合する。そのため、基質濃度に関わらず、阻害剤の濃度に応じた一定数の酵素が、常に阻害作用を受け続けることになる。
【補足】
- 代謝(生体内の化学反応。例えば”光合成“や”呼吸“など。)
- 触媒(化学反応を促進または抑制する物質。)
- 酵素(生体内ではたらく生体触媒。タンパク質を主成分としている。)
- 変性(加熱やpH変化などにより、タンパク質の立体構造が変化し、タンパク質の性質が変化すること。)
- 失活(酵素タンパク質が変性することで、触媒としての機能を失うこと。)
- 酵素-基質複合体(酵素の活性部位に、基質が結合した状態。)
- 最大反応速度(全ての酵素が酵素ー基質複合体を形成しているときの反応速度。)
- 基質特異性(それぞれの酵素タンパク質は特有の立体構造をもち、特に基質と結合する部分“活性部位”)
- ミカエリス定数(酵素の反応速度が最大反応速度の1/2になる時の基質濃度。ミカエリス定数Kmが小さいほど、酵素と基質は結合しやすい。)
- ミカエリス・メンテン式(酵素の反応速度は、最大反応速度(Vmax)、基質濃度[S]、ミカエリス定数(Km)によって決まる。)
- ラインウィーバー・バーク式(ミカエリス・メンテン式の両辺の逆数を取り、一次関数の形にした式。縦軸切片&横軸切片から、最大反応速度&ミカエリス定数を求められる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂