【79】ミカエリス定数
ミカエリス定数(Km)は、酵素と基質の”結合しやすさ”を表している。
ミカエリス定数(Km)は、酵素基質複合体の濃度[ES]に対する酵素濃度[E]と基質濃度[S]の割合なので、ミカエリス定数(Km)が”小さい”ほど、酵素と基質が”結合しやすい”(酵素-基質複合体を作りやすい)ことになる。
酵素の種類ごと、同じ酵素でも複数の基質がある場合は基質の種類ごとに、固有のミカエリス定数がある。
〈基質濃度と反応速度の関係を表したグラフ〉では、ミカエリス定数(Km)は、反応速度(V)が最大反応速度(Vmax)の1/2になる時の基質濃度[S]とちょうど一致する。
したがって、ミカエリス定数(Km)の値が“小さい”ほど、グラフの傾きが”大きく”なり、酵素は基質と結合しやすい(酵素-基質複合体をつくりやすい)ことになる。
酵素反応の反応速度(V)は、ミカエリス定数(Km)と最大反応速度(Vmax)、基質濃度[S]を使った”ミカエリス・メンテン式”で表わすことができる。
ミカエリス・メンテン式の両辺の逆数をとると一次関数の形になる。
1/[S]と1/Vの関係(基質濃度と反応速度の関係)をグラフにできれば、縦軸切片から最大反応速度(Vmax)を、さらにグラフの傾きからミカエリス定数(Km)を近似することができる。
【補足】
- 代謝(生体内の化学反応。例えば”光合成“や”呼吸“など。)
- 触媒(化学反応を促進または抑制する物質。)
- 酵素(生体内ではたらく生体触媒。タンパク質を主成分としている。)
- 変性(加熱やpH変化などにより、タンパク質の立体構造が変化し、タンパク質の性質が変化すること。)
- 失活(酵素タンパク質が変性することで、触媒としての機能を失うこと。)
- 酵素-基質複合体(酵素の活性部位に、基質が結合した状態。)
- 最大反応速度(全ての酵素が酵素ー基質複合体を形成しているときの反応速度。)
- 基質特異性(それぞれの酵素タンパク質は特有の立体構造をもち、特に基質と結合する部分“活性部位”)
- ミカエリス定数(Km=[E]×[S]/[ES]。酵素の反応速度が最大反応速度の1/2になる時の基質濃度と一致する。)
- ミカエリス・メンテン式(酵素の反応速度V=最大反応速度(Vmax)×基質濃度[S]/(Km+[S]))
- ラインウィーバー・バーク式(ミカエリス・メンテン式の両辺の逆数を取り、一次関数の形にした式。縦軸切片&横軸切片から、最大反応速度&ミカエリス定数を求められる。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂