【68】重力屈性
茎から根に移動してきた“オーキシン”は、根冠で折り返して皮層を遡り、根冠からやや上部の細胞の成長を促進する。
根冠のコルメラ細胞では、重力に従ってアミロプラストが沈降すると、オーキシンを輸送する膜タンパク質“PIN”の配置も変わる。
オーキシンが下側の皮層に移動して細胞の成長を“抑制”するので、茎は重力に従って下方向に屈曲することになる。
オーキシンが細胞の成長を促進する最適な濃度は、茎と根で違う。
根では、オーキシン濃度が高いと成長が”抑制”される。
【補足】
- 光屈性(光刺激に対して植物体が屈曲する現象。光に向かって屈曲する場合を“正の光屈性”、 光から遠ざかるように屈曲する場合は“負の光屈性”という。)
- オーキシン(植物細胞の成長を促す植物ホルモン。茎の細胞は高濃度で、根の細胞は低濃度で、成長が促進される。化学物質“インドール酢酸/IAA”はオーキシンとして働く。)
- PINタンパク質(細胞内のオーキシンを細胞外に放出する膜タンパク質。)
- AUXタンパク質(細胞外のオーキシンを細胞内に取り込む膜タンパク質。)
- コルメラ細胞(根冠にある細胞。アミロプラストの沈降により”重力“の方向を受容する。)
- アミロプラスト(葉緑体から派生した細胞内小器官。澱粉を貯蔵する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂