【67】光屈性
植物ホルモン“オーキシン”は、茎の先端で合成され、やや下部の細胞の成長を促進する。
オーキシンは、膜タンパク質“AUX”を通って細胞内に取り込まれ、膜タンパク質“PIN”を通って細胞外へ放出されるので、植物体の中を決まった方向に移動(極性移動)している。
光受容体のフォトトロピンが、光合成に必要な“青色光”を受容すると、オーキシンを輸送する膜タンパク質“PIN”の配置が変わる。
オーキシンが光から遠ざかるように移動して細胞の成長を促すので、茎は光の方向に向かって屈曲することになる。
【補足】
- 光屈性(光刺激に対して植物体が屈曲する現象。光に向かって屈曲する場合を“正の光屈性”、光から遠ざかるように屈曲する場合は“負の光屈性”という。)
- オーキシン(植物細胞の成長を促す植物ホルモン。茎の細胞は高濃度で、根の細胞は低濃度で、成長が促進される。化学物質“インドール酢酸/IAA”はオーキシンとして働く。)
- フォトトロピン(青色光を受容する光受容体。)
- PINタンパク質(細胞内のオーキシンを細胞外に放出する膜タンパク質。)
- AUXタンパク質(細胞外のオーキシンを細胞内に取り込む膜タンパク質。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂