【57】遠近調節
カメラや、イカやタコの眼球では、レンズ(水晶体)の屈折率を変えずに、レンズと撮像素子やフィルム、網膜などとの距離(眼球の奥行き)を変えることで、遠近調節を行なっている。
一方、ヒトの眼球は直径24mm程で、遠くを見る時も近く見る時も、眼球の大きさ(眼球の奥行き)は変わらない。
ヒトの眼球では、水晶体(レンズ)の屈折率を変えることで、遠くを見ても、近くを見ても、常に網膜上に焦点を結べるようになっている。
水晶体(レンズ)は弾性のある組織なので、周囲から引っ張れば薄く平らに、力を加えなければ丸く厚くなる。
遠くを見るときは、毛様体/筋肉が弛緩(疲れない!)→チン小帯/腱が緊張→水晶体が平らに薄く変形→水晶体の屈折率が低下→遠くの像が網膜上に結像する。
近くを見るときは、毛様体/筋肉が収縮(疲れる!)→チン小帯/腱が弛緩→水晶体が丸く厚く変形→水晶体の屈折率が上昇→近くの像が網膜上に結像する。
【補足】
- 水晶体/レンズ(カメラの“レンズ”にあたる組織。カメラの固いレンズと違い、弾性がある。タンパク質“クリスタリン”が蓄積していて透明度が非常に高い。)
- 毛様体/毛様筋/毛様体筋(水晶体を取り囲むように円状に配置する筋肉。)
- チン小帯(毛様体筋とレンズを繋ぐ”腱“。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂