【33】間脳視床下部と脳下垂体
『視床下部』は 『間脳』の一部(間脳の視床下部)だけれど、『間脳』から垂れ下がった『脳下垂体』は『間脳』とは別の器官である。
『脳下垂体』からは、多種多様なホルモンが血液中に分泌(内分泌系)されている。
ヒトの『脳下垂体』は大きく前葉と後葉に分かれていて、それぞれホルモンの分泌方法が違う。
『脳下垂体・前葉』から分泌される成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンなどは、同じ『脳下垂体・前葉』で合成されている。
一方、『脳下垂体・後葉』から分泌されるバソプレシンは、実は『間脳・視床下部』の神経分泌細胞で合成されている。
とはいえ、『脳下垂体・前葉』でのホルモンの合成&分泌も、元をたどれば『間脳・視床下部』からの分泌される別のホルモンによって調整されている。
したがって内分泌系の中枢は、やはり『間脳の視床下部』ということになる。
【補足】
- 間脳(大脳の内側に位置する。大脳を裏打ちするように広がるドーム状の構造をしている。上部の“視床”と、下部の“視床下部”とからなる。自律神経系と内分泌系の中枢。)
- 神経分泌細胞(間脳の視床下部にある細胞。神経細胞がホルモンを合成&分泌するように分化したもの。)
- 脳下垂体(間脳から垂れ下がる構造。前葉、中葉、後葉からなる。ヒトの中葉はあまり発達していない。)
- 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(間脳・視床下部の神経分泌細胞で合成され、間脳・視床下部の血管に分泌されるホルモン。脳下垂体の前葉に作用し、甲状腺刺激ホルモンの分泌を促進する。)
- 甲状腺刺激ホルモン(脳下垂体の前葉で合成&分泌されるホルモン。甲状腺に作用し、チロキシンの分泌を促進する。)
- 副腎皮質刺激ホルモン(脳下垂体の前葉で合成&分泌されるホルモン。副腎皮質に作用し、糖質コルチコイドの分泌を促進する。)
- 成長ホルモン(脳下垂体の前葉で合成&分泌されるホルモン。)
- バソプレシン(間脳・視床下部の神経分泌細胞で合成され、脳下垂体の後葉の血管に分泌されるホルモン。腎臓に作用し、集合管からの水分の再吸収を促進する。抗利尿ホルモン。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂