【6】細胞周期の計算
細胞周期の長さ(細胞数が倍増するのにかかる時間)が分かっていれば、顕微鏡で観察して各時期の細胞数を数えることで、細胞周期の各時期の長さを推測することができる。
細胞周期が同調せず、どの細胞もバラバラのタイミングで分裂していれば、細胞周期が24時間&分裂期が4時間(細胞周期の6分の1)の場合、どの瞬間を切り取っても、全細胞数のおよそ6分の1にあたる数の細胞が分裂期の姿を見せてくれる。
おなじく細胞周期24時間のまま、分裂期が8時間(細胞周期の3分の1)だったらどうだろう? 常に、全細胞数のおよそ3分の1の細胞で分裂期の姿を見れるはず。
分裂にかかる「時間」を知りたいからといって、ストップウォッチ片手に、何時間も顕微鏡で生きた細胞を観察しながら、同じ細胞の分裂開始~終了までの時間を計るのはかなり辛い。細胞を生かしておかなければならないから、分裂期を判別するために、酢酸オルセインや酢酸カーミンで染色・固定することもできない。
「細胞周期が同調していなければ・・・」との条件付きではあるけれど、顕微鏡で観察できる一瞬の様子から、細胞の時間の使い方を推測する方法は、大変よくできている。
【補足】
- 分裂期は染色体が凝集するので、顕微鏡で観察すれば、各時期(前期・中期・後期・終期)を判別できる。
- 間期は染色体が凝集していないので、顕微鏡で観察しても、G1期(DNA合成準備期)、S期(DNA合成期)、G2期(分裂準備期)を判別できない。
- タマネギ根端を使って体細胞分裂を観察する方法(固定→解離→染色→押しつぶし→観察)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店