【5】エンドサイトーシス&エキソサイトーシス
“endo”は“中”、“exo”は“外”、“cyto”は“細胞(細胞質) ”、”sis”は”過程”を意味している。

様々な生物用語の中でも「小胞体」や「微小管」は意味が想像できるけれど、カタカナ用語は覚えにくい。「モータータンパク質」や「マクロファージ」ならともかく、「エンドサイトーシス」と「エキソサートーシス」とか、「リボソーム」と「リソソーム」とか、「サイトカイン」と「サイトカイニン」とか・・・。

そんなときは、用語の由来を調べてみる。
ギリシア語やラテン語をもじった接頭語や接尾語が共通していることも多く、そのルールを知っていると他の用語も覚えやすくなる。大抵の高校生物の資料集巻末には、一覧表もある。似たような用語に出会って混乱したときは、接頭語や接尾語を手掛かりに考えたい。
例えば、細胞内共生説は”endosymbiotic theory”、DNAを途中で切断する制限酵素は”エンドヌクレアーゼ(endonuclease)”、脳内麻薬の”エンドルフィン(endorphin)”などもある。

真核生物の遺伝情報の中でアミノ酸配列に翻訳される塩基配列は”エクソン(exon)”、パソコンでデータを別のファイル形式に書き出せば”エクスポート(export)”、祓魔師が悪霊を追い出せば”エクソシスト(exorcist)”となる。
【補足】
- 食作用(phagocytosis)=食べる(phago)+細胞(cyto)+過程(sis)
- リボソーム(ribosome)=リボース(ribose)+体(some)
- リソソーム(lysosome)=分解(lysis)+体(some)
- サイトカイン(cytokine)=細胞(cyto)+働く(kines)
- サイトカイニン(cytokinin)=細胞質分裂(cytokinesis)+物質(in)
- マクロファージ(macrophage)=大きい(macro)+食べる(phage)
- バクテリオファージ(bacteriophage)=細菌(bacteria)+食べる(phage)
- アミラーゼ(amylase)=でんぷん(amilose)+酵素(-ase)
- ヌクレアーゼ(nuclease)=ヌクレオチド(nuclease)+酵素(-ase)
- リパーゼ(lipase)=脂肪(lipo)+酵素(-ase)
- ポリペプチド(polypeptid)=多い(poly)+ペプチド(peptide)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 倉石㬜(1962).「サイトカイニン(cytokinins)ーその作用機構を中心としてー」.化学と生物7(1)21-26