【87】コムギの進化
種子植物は、減数分裂で配偶子(卵細胞&精細胞)を作り、配偶子が受精して受精卵ができる。野生コムギ(2n=14)では、減数分裂で配偶子(n=7)を作り、配偶子が受精して受精卵(2n=14)ができる。
二倍体の個体(2n)どうしで交雑した場合、生まれた子(雑種第1代/F1)は両親から受け継いだゲノムを1組ずつ持つことになる。
両親が別種の場合、子(F1)が持つ2組のゲノムは互いに異なるため、減数分裂の際に“相同染色体”どうしで対合できず、正常な配偶子ができないために、孫(雑種第2代/F2)は生じない。
両親が別種の場合でも、子(F1)のゲノムが倍数化して“全体として二倍”になれば、減数分裂の際に“相同染色体”どうしで対合して正常な配偶子ができるので、孫(雑種第2代/F2)が生じて新たな種(品種)となる可能性がある。
両親が別種の場合、子(F1)が持つ2組のゲノムは互いに異なるため、両親から受け継いだ2つのゲノム(A&B)を合わせて、1つの新たなゲノム(AB)と見なすこともできる。
【補足】
- ゲノム(ある生物が持つ一揃いの遺伝情報。ヒトでは染色体23本分にあたる。)
- 核相(ゲノムのセット数。ゲノムのセット数と染色体数を組み合わせて表す。例えばヒトの体細胞の核相は2n=46、ヒトの卵細胞や精細胞の核相はn=23と表すことができる。)
- 単相(1組分のゲノムを持つ状態。減数分裂から接合・受精までの期間にあたる胞子・配偶体・配偶子は、単相となる。)
- 複相(2組分のゲノムを持つ状態。接合・受精から減数分裂までの期間にあたる胞子体は、複相となる。)
- ⚪︎倍体(⚪︎組分のゲノムを持つ個体。)
- 相同染色体(大きさや形が同じ染色体。互いの染色体の同じ位置に、同じ形質に関する対立遺伝子がある。)
- 対合(減数分裂の第一分裂において、相同染色体どうしが隣り合って結合し、一塊の二価染色体となる。紡錘体は、赤道面に並んだ染色体を、“一塊”ごとに2つに分割する。)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂