【36】染色体の乗換え&遺伝子の組換え
ヒトの体細胞は、1組23本(23種類)の染色体(ゲノム)を両親から1組ずつ、合わせて2組46本持っている。体細胞が2組のゲノムを持つ状態(複相)になるには、減数分裂で染色体数が半減し、1組のゲノムを持つ状態(単相)の配偶子(卵細胞や精細胞)どうしが受精しなければならない。
減数分裂では染色体が縦裂するため、もともと同じ親から受け継いだ染色体上に位置(連鎖)する遺伝子は、行動を共にすることが多い。
実際には、相同染色体が対合して縦裂する際、染色体の一部が交差して入れ替わること(染色体の乗換え)がある。同じ染色体上に位置(連鎖)する遺伝子であっても、遺伝子間距離が離れているほど、”染色体の乗換え“にともなって、遺伝子が入れ替わる(遺伝子の組換えが起こる)可能性が高い。
“染色体の乗換え”にともなって“遺伝子の組換え”が起これば、様々な組み合わせで遺伝子を持つ染色体が、配偶子に受け継がれる。
有性生殖では、両親の配偶子が受精して、子(新個体)が誕生する。相同染色体の対合&乗換えによって、同じ個体がつくる配偶子に様々な遺伝子の組合せが生まれることで、同じ両親から様々な遺伝子の組み合わせの子が産まれることになる。
【補足】
- 有性生殖(配偶子の接合によって新しい個体を生じる。)
- 減数分裂(第一分裂の後、DNA複製を行わずに第二分裂を行うことで、染色体数が半減する。)
- 配偶子(単相の細胞。二つの配偶子が“接合”して、複相の“接合子”となる。)
- 受精(卵細胞と精細胞のように、形や運動性の異なる配偶子どうしが接合する場合を”受精“という。)
- 連鎖(複数の遺伝子座が、同じ染色体上に存在する状態、あるいは、同じ染色体上に存在する複数の遺伝子が、同じ配偶子に分配される状況。)
- 乗換え(減数第一分裂に対合した相同染色体が互いに交錯し、染色体が部分的に入れ替わる現象。)
- キアズマ(染色体の”乗換え“の際に、染色体が交差している部分)
- 組換え(染色体の”乗換え“にともなって、連鎖する遺伝子が入れ替わる現象)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂