【19】抗原提示とMHC

細胞は、MHC(主要組織適合遺伝子複合体分子)を使って、“自分がどんな成分を持っているか?“を免疫細胞に知らせている。

例えば、樹状細胞は食作用で取り込んだ異物の成分を、MHCクラスⅡ分子を使って抗原提示し、リンパ節で待つT細胞に知らせている。

MHCクラスⅡ

MHCには、”クラスⅠ“と”クラスⅡ“の2種類がある。普段はMHCクラスⅠを使って”自己の抗原“を提示することで、身内にあたる免疫細胞から攻撃されないようにしている。

けれども、”非自己の抗原“を提示する場合は、MHCの”クラスⅠ“か”クラスⅡ“かで、抗原提示した細胞の運命は大きく分かれる。

MHCクラスⅠ

感染などにより”非自己の抗原“をMHCクラスⅠ分子を使って提示したり、”自己の抗原“を提示できなくなったりした細胞は、キラーT細胞やNK細胞によって排除されてしまう(細胞傷害)。

免疫細胞と受容体

【補足】

  • TLR(Toll様受容体。病原体となりそうなウイルスや細菌類に共通する “ RNA”や“鞭毛”、“細胞壁”などの成分と結合する“パターン認識受容体”の一つ。)
  • MHCクラスⅠ(抗原提示用の膜タンパク質。ほとんどの有核細胞が持つ。)
  • MHCクラスⅡ(抗原提示用の膜タンパク質。一部の免疫細胞が持つ。)
  • TCR(T細胞受容体。MHC上の抗原と結合する。特定の抗原にしか結合しない性質“特異性”が極めて高い。)
  • T細胞(骨髄で誕生したのち、胸腺“thymus”で成熟する。誕生の際に遺伝子が再構成されていて、一つのT細胞は一種類のTCRしか持たない。自己抗原に反応するT細胞は、胸腺で除去される。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

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