【16】尿生成と濃縮率
ヒトの腎臓では、一日におよそ180ℓもの血漿がろ過されている。ところが、血漿から作られる“尿”は、一日に2ℓ程度しか排出されていない。
腎臓の“腎小体”では、”血漿“の一部が糸球体(血管)からボーマン嚢(膀胱につながる管の源)へろ過されて”原尿“となる。“原尿”に含まれる成分のうち、各種イオンなどの成分はその時々の必要性に応じて、ボーマン嚢の先の細尿管(腎細管)から毛細血管へと再吸収される。大事な大事なグルコース(エネルギー源!)はほぼ100%、水分もほとんどが毛細血管へ回収(再吸収)される。
すると、原尿の成分の中でも“水分より再吸収されにくい成分”の濃度は徐々に高まり(濃縮され)、最後は“尿”として排出される。とくに“全く再吸収されない成分”の濃縮率がわかれば、“尿“の量[L]から、ろ過された”原尿“の量[L]を推測することができる。
【補足】
- 腎臓(血漿から尿を作る臓器)
- 血漿(血液から血球を除いた液体)
- 原尿(血漿成分のうち、糸球体からボーマン嚢へ“ろ過”された成分。)
- 尿(原尿成分のうち、細尿管や集合管から毛細血管へ“再吸収”されなかった成分。)
- 腎小体(糸球体+ボーマン嚢)
- マルピーギ小体(腎小体)
- 濃縮率(=原尿中の濃度/尿中の濃度)
- 半透膜(細胞膜やセロハン膜など、高分子は通し&低分子は通さない膜)
- 浸透圧(ある溶液が水を”引き込む”力。様々な溶質を含んだ溶液の全体的な”濃さ”を表している。)
- 高張液(浸透圧の高い溶液)
- 等張液(浸透圧が等しい溶液)
【参考資料】
- 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
- 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
- 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
- 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
- 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂