【25】体液性免疫

獲得免疫のはじまり

T細胞は、それぞれ担当する“抗原”が決まっている。感染部位からリンパ節に向かった樹状細胞は、自身が提示している抗原を担当するT細胞を、多くのT細胞の中から探し出さなければならない。樹状細胞が“運命の”T細胞に抗原提示できれば、ようやく“獲得免疫”がはじまる。T細胞は増殖し、キラーT細胞やヘルパーT細胞へ分化していく。

体液性免疫

B細胞も、それぞれ担当する“抗原”が決まっている。B細胞は、独自に病原体(の抗原)と出会っているものの、抗体産生細胞に分化する“決心”がつかないまま放浪している。そうこうするうち、たまたま同じ抗原を担当するヘルパーT細胞と出会えれば、B細胞は活性化して抗体産生細胞に分化できる。

免疫細胞と受容体

抗体は、病原体の抗原と特異的に結合することで、病原体の自由を奪う。マクロファージや好中球などの食細胞にとっても、抗体付きの病原体の方が食(作用)が進む。

免疫グロブリン

抗体はY字形のタンパク質“グロブリン”からできていて、それぞれ担当の抗原のみと結合する独自の“可変部“をもっている。1つのB細胞が作る抗体は、1種類の抗原とだけ“特異的”に結合する。

【補足】

  • 抗原(抗体が結合する成分。ウイルスの殻を構成するタンパク質や糖鎖、細菌類の細胞膜に浮かぶ膜タンパク質など、様々な成分が抗原となる。)
  • 抗体(抗原に結合するタンパク質。各々のの抗体は、それぞれ特定の抗原だけに特異的に結合する。)
  • 免疫グロブリン(抗体として働くタンパク質。長短2種類、合わせて4本のポリペプチドが組み合わさってY字形の構造となっている。)
  • マクロファージ(白血球の中でも、大型の食細胞。膿となった好中球なども貪食する大食細胞。)
  • 樹状細胞(白血球の中でも、大型の食細胞。MHCクラスⅡを使って、T細胞に抗原提示する。)
  • T細胞(樹状細胞から抗原提示を受けると増殖し、キラーT細胞やヘルパーT細胞、記憶T細胞に分化する。)
  • B細胞(MHCクラスⅡを使って、ヘルパーT細胞に抗原提示する。同時にヘルパーT細胞からは活性化されて増殖し、抗体産生細胞や記憶B細胞に分化する。)

【参考資料】

  • 吉里勝利(2018).『改訂 高等学校 生物基礎』.第一学習社
  • 浅島 誠(2019).『改訂 生物基礎』.東京書籍
  • 吉里勝利(2018).『スクエア最新図説生物neo』.第一学習社
  • 浜島書店編集部(2018).『ニューステージ新生物図表』.浜島書店
  • 大森徹(2014).『大学入試の得点源 生物[要点]』.文英堂

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